退廷命令を出すたび嬉しそうににやける水戸簡裁裁判官・福本修(しゅう)
茨城県警に不当逮捕され勾留が続いている当該2名の勾留理由を開示する勾留理由開示公判が9月27日、水戸簡易裁判所203号法廷で開かれました。法廷で福本修裁判官は、当該の弁護士からの質問に対し「申し上げられない」「お答えする必要はありません」などと回答拒否を連発する一方、傍聴人に対し退廷命令を乱発する異常な法廷指揮で、今回の事件の異常性が改めて浮き彫りになりました。
◆ 女性傍聴人に男性警備員が身体検査 開廷前から“不適切行為”
公判の傍聴には茨城県内外から計33人が集まりましたが、203号法廷の傍聴席は20席しかないため抽選となりました。抽選で選ばれた傍聴人20人は、入廷前に手荷物検査と金属探知機による身体検査を受けさせられたのですが、身体検査で男性警備員が女性傍聴人を検査する「不適切な行為」が行われました。女性傍聴人や周りの傍聴人が抗議し、弁護士も抗議したため「女性傍聴人は裁判所の女性職員が身体検査する」事で決着しましたが、おおよそ社会通念とはかけ離れた対応でした。
◆ 水戸150号の勾留理由開示公判の様子
午後2時から開廷した水戸150号(当該)の公判で福本裁判官は、当該の勾留理由を「本件関係者による罪証を隠滅するに足りるとの状況証拠があった。被疑者が逃亡する恐れがある」と説明。しかし弁護側が詳細な勾留理由の説明を求めると「それ以上説明する理由はない」と説明を拒否しました。
弁護側は立て続けに「裁判官はいかなる根拠で(勾留延長を)判断したのか?」「防犯カメラは大学構内にあったのか?」などと質問したが、福本裁判官は「証拠の内容に関わる事をお答えする必要はありません」「お答えする必要はありません」などと回答拒否を連発。勾留理由を明らかにするのが主旨の法的手続きにも関わらず、当該が勾留され続けている詳細な理由は明らかにされませんでした。
当該は意見陳述で「あなた達何をやっているか分かっているんですか?人を閉じ込めることがどういう事か分かっているのですか?」と、一連の不当逮捕と勾留を認めた福本裁判官らを非難した上で「昨年11月10日のデモで育樹祭反対行動は終わったと思ったが、集会を開けなかったのが心残りだった。集会の場を提供してくれた茨城県警公安課ありがとう!水戸地検ありがとう!水戸簡易裁判所ありがとう!」と皮肉をこめた陳述で傍聴席を沸かせました。
その上で水戸警察署留置場での環境に触れ「少なくとも留置場に人権はありません。全ての被留置者に人権を」と訴えるとともに「天皇制は存在するだけで人権を侵害します。特別に偉い人がいれば、蔑まれる人がいます」と、天皇制が抱える身分差別の問題を訴えました。
弁護人は意見陳述で、当該が取り調べ段階で警察側から「君は『黒ヘルグループ』に所属しているのか?」などと、事件とは関係ない意味不明な尋問を受けている実態を明かしました。その上で弁護人は「たとえ万一起訴されたとしても罰金5万円の軽微な罪状で(長期間)勾留されるのか」と裁判所の判断を非難。事件が起きたとされる常磐(ときわ)大学構内では、学外の一般市民が散策し、また図書館を利用し、構内の食堂では他大学の学生が食事をしているが「建造物侵入」で処罰された例は無い」という現状を述べた上で「被疑者に対する勾留、勾留延長は必要ないと考えている」として、当該の即時釈放を訴えました。
◆ ひたちなか94号の勾留理由開示公判の様子
続いて開かれた当該(ひたちなか94号)の公判で、福本裁判官は勾留理由を「本件関係者による罪証を隠滅するに足りるとの状況証拠があった。被疑者が逃亡する恐れがある」と同じく説明。しかし弁護側が「本件の事件の性質は『多数の者が共謀した』というが、本件事件の具体的性質を明らかにしていただきたい」と、勾留状に書かれている内容より詳しい理由の説明を求めると「多数の者による共謀」とだけ述べ、詳細な説明を拒否しました。
また弁護側は「彼(ひたちなか94号)の自宅に家宅捜索が入ってきて、仕事で外出していた本人に家族から連絡が来たが、本人は警察がいるところに戻ってきた」と、当該に逃亡の意思が無い事を説明しました。
その上で弁護側は「逃亡の恐れがあると考えた理由は」と福本裁判官に質問しましたが、「お答えいたしません」などと回答拒否。勾留延長の理由も「理由についてお答えする必要はありません」と、回答拒否しました。
当該は意見陳述で、ひたちなか警察署留置場の不自由かつ劣悪な環境に触れ「これは刑罰の先取りではないか」と非難し「警察権力、司法権力の醜い姿をさらけだした」と、一連の不当逮捕・不当勾留を非難しました。
また天皇の名の下で行われた戦前・戦中の戦争犯罪に触れ「諸外国に落とし前を付けるために天皇制は廃止すべきである」「世界のどこにも、人民の望まぬ王制はいらない」と訴えました。
弁護人は意見陳述で、福本裁判官の傍聴人退廷命令の乱発に対し「これは『弾圧』と言わざるを得ない」と抗議しました。
その上で弁護人は「本件の捜査目的は不当であると考えている。公安警察による運動の弾圧、情報収集が目的ではないか」と述べた上で「被疑者の運動傾向に着目して捜査が行われるのは、憲法が定める『思想信条の自由』に反するのではないか」として、今回の捜査の違法性を訴えました。
なお、この一連の公判では、閉廷までに退廷させられた傍聴人は水戸150号の公判では7人、ひたちなか94号の公判では4人。福本裁判官の異常な法廷指揮が目立ちました。